のうねんさん会社を去る②
会社に戻り、のうねんさんは会社は辞めたくないけど、体調が本当に悪くて、繁忙期の今戻るのは難しいから場合によっては退職も考えていて、実際顔面蒼白だったし、ふらついていたことを社長に伝えた
社長はのうねんさんが会社にいたいという情報に安堵し、戻れる体制を作らないとと言ってくれたが、数日たっても動かない。
それどころか納期に追われていた為、日に日に機嫌が悪くなる。
(納期に追われてるなら、一番仕事が出来る社長が仕事手伝ってやれよとわたしを含め殆どの従業員が思っていた)
そして二日後、社長が発狂した。
会社が本格的にのうねんさんと連絡がとれなくなっただけでなく、納期に追われ、その納期に間に合わなければ違約金を支払わなければならない状況となっていたことが社長を追いつめていた。
人手が足りない為、経理のわたしまで業務に入っていたという危機的状況だった。
連日の徹夜で従業員はじめ社長の疲れもピークとなり、そのストレスのはけ口がのうねんさんがいないことにむけられはじめた。
専務から社長にのうねんさんをくびにしろと指令がとんだ。
ほどなくわたしに、のうねんさんへ解雇通知を発行するようにと指示がおりた。
内心よっしゃーだが、その解雇通知の文面は結構きついことを書かないといけないから、のうねんさんにやぶって捨ててとお願いした。
だが、この解雇通知よりさらにきつい仕打ちをのうねんさんが受けていたとはその時のわたしは知らなかった。
のうねん会社を去る
「よし、のうねんさん。会社を辞めよう!」
マンションのだだっ広いポーチで口走った言葉はこれだった。
そしてわたしの言葉にのうねんさんは泣き出した。
N)「経理さんにまで来てもらって、わたしの為に時間とってもらってごめんなさい。でも経理さんのいう通り会社を辞めたいんです。あの会社にいても先が見えないんです。辛いです。」
泣きじゃくる彼女と一緒にわたしも泣いた。
彼女がここまで悩んでいたのに会社に戻ってきて欲しいと思っていた自分を恥じた。
しかしこの一件がわたしがすでにブラック企業に毒され始めたと気付かせてくれていた。
そこからのうねんさんと退職についての打合せをし、会社に戻った。
ここから暫くはのうねんさん退職編を記していこうと思う。
あれ?何かがおかしい②
わたしのちょっと前に入社した女の子がいた。
席がとなりだったこともあり、とても仲良くなりお休みの日も遊ぶようになった。
これがとても優しくてまっすぐなだけじゃなく、フクシソウタとノウネンレナ(漢字がわからない)に似ている美形な子だった。
天は2物も3物も与えるもんだと思った。
わたしが入社して2週間程度経過した時のランチ中に彼女がこう言った
「経理さん(わたしのこと)、わたしあの会社おかしいと思うんです。」
反射的にわたしも
「のうねんさん(彼女のこと)、実はわたしもそう思ってるんです。」
のうねんさんは、わたしの言葉にうなずきこう続けた。
「ハロワに出てた内容と違うんです。例えば残業なしって書いてたし、面接の時もそう説明されたのに休日出勤までしてるんです。それに社会保険にいれてもらえないみたいなんです。」
※以下、のうねんさんの発言はN、わたしの発言はWと先頭に記載する
よく考えたら彼女から年金番号とかの書類を貰ってないし、雇用保険の手続きもしてないなとなった。
W)「申し訳ない、すでに社長が対応されてると思ってました。じゃあすぐ対応しないとまずいですよね。っていうか、そもそもどういう条件でここきたんですか?」
N)「ハロワでは、残業は月20時間あるなし、給料は175千円、資格手当5千円、各種社会保険有りっていう感じですかね。」
W)「すでに何個か違反してますね。そういえば、うちって給料が25日〆の翌月末支払みたいですけど大丈夫ですか?」
N)「それもきついんですよね。貯金があるから大丈夫です。心配してくれてありがとうございます。それより社会保険ちゃんとしてもらわないと不安で働けないです。」
W)「そうですよね。のうねんさん一人暮らしだからちゃんとしてないときついですよね。のうねんさんの件も気になるんですけど、わたしはまったく別件が気になってます。
毎日朝と昼と最後のミーティングで1時間以上演説して人を馬鹿にしてる人いますけど、あれOKなんですかね?
っていうか、そもそもそない話すことありますかね?時間ないっていうてるのにあれ無駄ですよね?」
N)「経理さんもそう思ってたんですね。実はわたしもすごく気になってたんです。あれだけ大きな声をだされたらびっくりするし、怒られるかもしれないから怖くて質問も出来ないんです。それに業務マニュアルがなくて困ってるんです。なんだか思ってた会社じゃないんです。。」
それから1か月もたたない位で彼女は過労がたたり体調を崩し、会社を休んだ。
初日は会社に連絡がきたが、二日目は会社からの連絡後に休むとなり、三日目は連絡が取れなくなった。
但し、わたしとは連絡がとれている状況だったので、社長からマンションに行って彼女が辞めないように説得してこいと指示を受けた。
仕事は好きとは言ってくれてたし、わたしが彼女と一緒に働きたかったので、会社が彼女に負荷の高い仕事を振らなければ、帰ってきてくれるかもと比較的軽い気持ちで彼女の自宅にいったのだが、彼女の疲れ果てた顔を見た瞬間に
W)「よし、のうねんさん。会社辞めよう!」
わたしは社長の指示とは真逆のこと口走っていた。
あれ?何かがおかしい①
最初の話だと週4勤務。且つ10:00-16:00で業務が終わるということだったが
それが無理な話だと気付く。
いざ勤務してみると、
①引継がない為すべての資料を自分で確認していかないといけない
②無駄に社長の自分語りがある(これが日に2~3時間程度)
③さまざまな方法で賃金を低くしようとする為、給料計算ソフトを使用しないでエクセル(しかも関数なし)で作業している
④法人カードを明らかに私的利用し、カードの利用明細と使用時の明細ダブルで出してきて、一個を役員借入にしようとする(夜のお店が大好きな社長)
⑤毎日誰かが罵られている(社長とアルバイトリーダーが結託して社員を馬鹿にしている)為、集中力がそがれる
⑥口下手な社員を標的にし意見を言わせ、口ごもっただけで罰金として1万円徴収(恐喝)し、返却しない
ちなみに、④と⑥以外は毎日のルーティン。
最初の1カ月は繁忙期であったことと業務に不慣れな為
みんなおいこまれてるんだ。繁忙期が終わればやさしい人に戻るよ、とおかしいことに気付かないふりをしていた。
だが、繁忙期が終わってもその状況は変わらなかった。
小さな会社の経理担当者の独り言
わたしには夢があった
それはなんでも自分一人で出来るスーパーオペレータと呼ばれる事務員になることだった
そのような人材になるべく
30人規模の中小企業での一人経理職に就く。
しかし、ここを選んだことで、幸か不幸か自分が本当にやりたかった事に気付けた。
それは人の心のケアをすることである。
機械の扱いに長けていなくてもいい。
そこで働く人を支えることで、会社の成長を裏側から支える仕事。
そういう仕事がしたいと気付けたのである。
察しの良い方ならすでにお気づきかもしれない。
そう、ここは純然たるブラックカンパニーである。
この会社では、
・モラハラ(毎日従業員の人格を否定し、長時間罵倒する。能力が低いから給料は払わないと罵る)
・セクハラ(経営コンサルタントの小山さんに憧れる社長は、自分なら女性社員への卑猥な言葉を発してもセクハラにならないと公言する)
・パワハラ(特に社長が従業員を殴ることが茶飯事、加えて専務は従業員に自殺した方がいいと薦める)
・社内営業を徹底させられる(日に2時間程度をこれに割かれる)
・・・など、ざっとあげただけでも
ブラックな会社にありがちな内容の枚挙に暇がない。
ここではわたしがどのように会社と戦っていたかを綴っていこうと思う。